まちを背景にした美容室。
ゆったりとした銀杏並木があり歩行者の少ない落ち着いた環境の道路に、45度傾いて接した奥行きのある台形状の路面店舗であった。この心地のよい外部環境を活かすために鏡などの什器を道路に平行に配置した。道路側の席はもちろん、奥の席からでも銀杏並木などのまちの様子を感じることができる。一方プライバシー高いシャンプー台などは既存の柱梁に沿うように配置し、まちからの一定の距離を保った。店舗の持つ2つの方向に場を分散させ、
それぞれが独立した存在のように空間に点在している。
また築40年の空間は下地の処理や塗装された躯体、凹凸のある土間など、これまでのテナントの痕跡が残っていた。これらの痕跡も無かったものとするのではなく、まちの一部の履歴として読み取り、削ることや、剥がすことで仕上げとして活かしている。
小さなインテリアもまちの一部であり、まちとの関係性から組み立てることで、時間とともに変化する空間を目指した。