駒沢の貸室|Unit in Komazawa

観察と応答を繰り返すことでつくるマンションの一室の改修。
賃貸住戸においては、クライアント自身が住まい手でないことは一つの特徴でもあるため、生活に対する具体的な要望が出発点とならない。そこで設計の手がかりを掴むため住戸をじっくりと観察することから始め、改修の糸口を探した。
解体を始める前に頻繁に現地へと足を運ぶことで、家具や什器で隠れていた空間の全体像を徐々に掴んでいき、がらんどうとなった際には、歪んだ五角形の敷地を目一杯活かすように雁行した空間の窓周りの壁だけを残し、余計な壁や下地、什器などを撤去した。
窓周りと撤去部の境界面に新たに窓枠のような見切りを設けることで、不均質な躯体の表情と雁行した空間に付加した壁面として現れる。また家具や建具など様々な箇所に経年劣化が見られていたが、家具を分解して部分的に吊り戸として利用したり、建具を表裏反転して合板仕上げとなる扉とした。床仕上げや設備機器など新設箇所を最小限に留めながらも、撤去や部分利用など既存ストックの価値転換を行うことで、室の更新を図った。

所在地|東京都世田谷区
用途|住宅
構造|鉄筋コンクリート造(既存)
床面積|79.6m2
竣工|2020年
写真|高橋菜生

Location|Setagaya, Tokyo Pref.
Main use|Residence
Structure|RC (existing)
Floor area|79.6m2
Completion|2020
Photo|Nao Takahashi

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